日常・・・・
それはいつも当たり前のことで
でも、それはいつも突然に壊れてしまうことがある
その壊れてしまった音は、
その音はいつも俺たちには聞えない。
++++ 見えない音 ++++
あいつの悲鳴が聞こえる。
「もう、うんざりなんだよ!!」
そう投げ捨てるように言って、俺たちの前を去った彼女。
きっとこの中の誰よりも、一番心を痛めていただろう。
彼女は些細な事でも自分をよく責める。
彼女は不思議な人。
彼女は相手が困っている時は、自分を犠牲にしてまで相手を助ける。
しかし、いざ自分が困ってしまうと、
その苦しみを全部自分の中に溜めてしまう。
そんな、自分の癒し方を知らない不器用な彼女・・・・・
俺はいつの間にか、
そんな彼女から目が離せなくなっていた。
気付くと、そんな彼女を好きになっている俺がいた。
自分より6つも年上で、
喧嘩がバカみたいに強くて、
心がとてもあたたかくて、
こちらが触れるのをためらってしまうほど、
魂の綺麗な人。
でも彼女は完璧じゃない。
脆い所もあったし、弱い所もあった。
彼女は身体年齢よりも精神年齢は俺達に近かったと思う。
下手をすれば精神年齢は俺たちより下なのではないのかと、
そんなことを思わせることも多々あった。
でも彼女はどんなに年下に見えて、もやはり大人だった。
そんな彼女が時折見せる、様々な喜怒哀楽の表情は俺を魅せていた。
俺はいつから彼女にこんな気持ちを抱くようになったのだろう・・・・
最初は、ただ面白半分だった。
彼女の側にいれば何かしら面白い場面に遭遇したりしたし。
俺は面倒なことが嫌いだったが、別に彼女の側にいるのは苦にならなかった。
次第に危なっかしい彼女が放って置けなくなった。
気付けば当たり前のように
俺はいつも彼女の側にいた。
別に彼女を助けているつもりなんてなかった。
俺は彼女の言動が面白くて側にいた。
けれど次第に、
彼女から少しでも目を離したら勿体無いと思うようになった。
次に人間が生理的におこなう瞬きさえも、うっとうしく思えた。
気付くと俺は彼女に近づく男達をとても不快に思うようになっていた。
そんなことを思うようになってから、
自分のこの気持ちを理解するのに時間はかからなかった。
けれど、この気持ちに気付いた時、俺は自分が信じられなかった。
最初に会った時、彼女は俺たちの敵だった。
俺達は大人が信じられなかった。
たとえ、信じたとしても裏切られるのはいつも俺たちの方だったからだ。
大人が嫌いで、
でも俺たちはそんな嫌いな大人になる階段を上っていた。
止めようとしても、時間はただ流れた。
俺たちは自分が1番嫌っていた大人になっていった。
大人は嫌い。
特にセンセイという職業の奴を俺達は嫌っていた。
「自分を信じて欲しい」
こんな事を軽く言ってくる奴ら、
結局は自分の都合で俺達を裏切る口ばかりだった・・・・
信じて、
裏切られて、
傷をつけられて、
邪魔になれば俺達を見捨てていく・・・・
こんな世の中でいったいなにを信じれば良い??
信じてもどうせ裏切られるのに??
俺達は自分たち以外をどうやって信じれば良い??
誰を信じれば良い?
けれど彼女は、彼女だけが違った。
大人たちに裏切られて、心を閉ざしていた俺達をしだいに癒した。
「私はこいつらを信じます。」
初めてこの言葉を聞いた時、俺は彼女を敵だと認識した。
ああ、こいつもあいつらと同じか・・・・
どうせ都合が悪くなれば、いつものように俺達を裏切る・・・・・
なら、初めから信用しなければいい・・・・
けれど時間が経つにつれて
彼女の言っている事は嘘じゃないと思うようになった。
彼女は俺達を決して裏切らなかった。
あの言葉のように、
真っ直ぐに俺達を見据えて、
俺達がどんなに疑われる状況でも俺達を信じてくれた。
彼女はがんじがらめになって閉ざされていた俺達の心を
むしろ無理矢理に引っ張り出して癒していた。
彼女はいつしか
3Dのクラス全員と信頼しあえる仲になっていた。
俺達の関係は教師と生徒。
6つも離れた俺の想い人。
この気持ちに気付いた時、
俺は自分に驚きはしたが嫌な感じはしなかった。
この気持ちを伝えてしまえばいいのかもしれない。
でも今は・・・・できない。
俺は彼女が困る顔は見たくはなかった。
いきなり生徒から告白を受ければ彼女はきっと困惑するだろう。
ただ漠然と愛しいと思った人。
いつも輝いている黒曜石のような瞳が好きだ。
風に流れ、日に美しく照らされている漆黒の髪が好きだ。
本当は手にいれてしまいたいと、
俺だけのものにしてしまいたいと何度思ったのかわからない。
ただ、漠然と思った・・・・
彼女が好きだ・・・・・と
彼女だけが欲しい・・・・・と
そんな彼女を俺は、こんな時でさえ愛しいと思った。
その反面、俺を頼ってくれなかった事が少しつらかった。
今のこの気持ちをなんて言えばいいだろう
ただ今の俺じゃ、この気持ちを言葉にする事が出来ない。
でも、もし言える時が来たならば俺は一言彼女に伝えたい。
そして俺はこのあたりまえになった日常を失うだろう。
彼女に拒絶されるか受け入れられるか。
どっちにしろ今までの関係ではお互い、いられない。
その瞬間、
あたりまえの日常が俺にしか聞えない音をたてて崩れるのだろう。
それでも俺は彼女に伝えたいと思っている。
「俺は、お前が好きだ」
そんな小さな愛の言葉を・・・・
------------------End
++あとがき++
とりあえず・・・・なんだかワケワカメ状態で終っちゃったよ(汗)
慎しか出てこない上に慎じゃないよう(泣)
今度作る時はきっともっとまともに作ってみます。
そんではお粗末さまでした。
ここまで付き合っていただいて、本当にありがとう御座います。
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