俺の下で美しく様々に舞う
イトシイ姫君
俺に翻弄されながらも美しい音色を奏で続ける
イトシイ姫君
でも本当に欲しかった
唯一本当に望んだ姫君は手に入らなかった―――――
彼女はするりと俺の手を抜け、
俺の手の届かない場所へと永久に飛び去ってしまった。
なぁ、あれから
もうどのくらい経った―――――
+++++ 抜け殻 +++++
薄暗い部屋で湿った音が響く
それに続いて女の艶声と荒い息遣い――――
「はっ・・・ひゃん・・ああぁ・・・・・んっふぅ・・ぁぁあぁんっ・」
「・・・・・・」
ヒノエは事前の行為で、十分に潤った女の陰部に指を一本二本と差込、
卑猥な音を立てながらかなをかき混ぜた。
その音が聞こえているのか、はたまたその指に翻弄されているのか、
女は更に息を荒げ艶声を上げた。
「ぁぁぁああぁぁぁあああああ!!!」
その声を上げると同時に、女の体が一瞬大きく揺れたかと思うと、
小刻みに痙攣し続けていた。
その様子ただじっと見続けていたヒノエは
差し込んでいた指を音をたてて引き抜いた。
引き抜いた指は愛液で十分に濡れて糸をひいていた。
ヒノエは女の前でわざとらしく
羞恥をあおるように言葉で攻めながらそれを舐め取った。
やがて指とは比べ物にならないくらいの質量の物が女の体を一気に貫いた。
一度イって女の体の何処も彼処もが敏感になっている所為か
その強烈な快楽は一瞬で意識をとばしてしまいそうになるくらい凄まじい物だった。
女はその強烈な快楽に絶えようと必死に意識を保っていたが、
体の内を激しく貫かれるたびに、角度を換えて攻められ続けるたびに
声が高くなり、もう限界であることを悟った。
女の熱は段々と熱くなっていった。
しかし、逆に女を抱きながらもヒノエの心は冷めていた。
目の前の女を抱いているのに女は目に映っていなかった。
女と褥を共にするその行為に、もはや一片の意味などなかった―――――
ただ火照る体を冷ますように、
体に溜まった熱を吐き出すように
無意味にその行為は幾度も続けられた。
(ヒノエ君)
目を閉じれば今でも鮮明に思い出せる。
彼女の愛くるしい声。
彼女の愛くるしい表情。
アイクルシイ
彼女
―――――望美
俺は失った彼女をただずっと求める。
(ヒノエ君)
優しい笑顔。
(ヒノエ君)
怒った表情。
(ヒノエ君・・・・・)
泣きそうな、瞳に涙を浮かべた表情。
(ヒノエ・・・君)
頬を染め上げて、照れた様に俺を呼ぶ表情。
(ヒ・・ノエ・・・君・・・・・)
いつも遠くを見ている憂いを含んだ横顔。
(ごめんね・・・・ヒノエ君)
俺の元から去った月の姫君。
―――――俺の愛しい・・・望美
「もう、もう・・・、ぁぁぁぁあああああ・・・・・別・・当・・・・・」
その声を最後に女は絶頂を向かえ完全に意識を失って果てた。
「・・・・・・・」
同時にヒノエは更に女の内に己を打ち付け精を放った。
ただ、精を放ったヒノエの瞳はやはりどこまでも冷めていた。
濁ったような瞳が気を失って果てた女を見下ろしていた。
まるで何も感じていないような、
そんな底知れぬ闇が何時までも彼を支配していた。
性欲を満たす行為が終わったヒノエは
適当に着物を着た後、上着を軽く羽織りその場を去った。
いつものように女を褥に一人残して・・・・・
部屋を出れば空には美しい月がただ自分を冷たく照らしていた。
まるで自分を軽蔑するかのように月は空で静かに輝く。
そう思うのは自分の闇に気付いているから―――――
もう、幾度となく繰り返し続けた習慣。
月の美しい夜にヒノエは彼女に似た女を腕に抱く。
彼女しか愛さない
彼女しか愛さない
―――――彼女しか愛せない
もう彼女しか愛せないのは分かっていた。
だから彼女を失った時、
彼女が俺の元から去ってしまった時、
同時に心が止まってしまった。
心から愛していた。
本当に何よりも、誰よりも・・・・
彼女以外を愛せるはずがなかった。
それでも体に溜まる熱がある。
その熱を吐き出すように月の美しい夜に彼女に似た女を抱く。
月の名を持つ彼女と重ね合わせて
腕に抱くことすら出来ない愛しい人を想って
まるで月を抱くように
ただ、彼女を求めて―――――
「望美・・・・・」
ヒノエは月を見ながらつぶやいた。
けれどその言の葉は誰の耳に入ることすらなく、闇に飲み込まれていった。
空には静かに輝く美しい月がただひとつ―――――
その時、頬をあたたかい何かが流れ落ちた
行為の後、必ず頬を流れるもの
それは自分しか知らない秘め事。
今宵もまた雨が降っている
月夜の美しい宵に静かに降り続けている
胸のうちは澄み渡ること無く黒雲に支配されて
だから瞼から止めどなくどこまでも溢れる雫は雨水なのだ。
『きっとこれからも俺は望美だけを愛し続ける・・・・・』
その想いだけが、
いつまでも心に爪痕を残すように刻まれていた。
幾度月日が巡ろうとも
幾度彼女に似た女を腕に抱こうとも
この想いだけは色あせること無く永久に刻まれ続ける
決して手に入ることの無い
月の姫君だけを想って
***End***
>>>>>あとがき
久方ぶりの裏更新。
それも、すっごいヌルいっすよ・・・・(汗
いや、本当は表置いても良いかナァなんて思ってたんですけど、
一応、少しだけだけど、行為のシーンがあるし・・・・
考えた末、裏に置きました。
期待していた方ごめんなさい。(T◆T)
もっそヌルイです。
いっそ裏なんてなくせと言われんばかりのぬるさです。
とりあえず今回はノーマルです。
それも初もの遥時3のヒノエ。
ノーマル裏初。ヒノエで話し作るの初。裏切な系初。
それも、ヒロイン以外の女が出てる初。行為シーン初。
初だらけですよ・・・・(笑
H19.2.5
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