あいつを傷付けさせない。


これ以上あいつが傷つく必要は無い。


それなら俺が闇を背負い込もう。


あいつがこれ以上傷つかないように、
あいつがこれ以上心を痛めないように・・・・



俺はあいつが笑っていられるように
あいつの、野ブタの為の「道化」にでもなってやろう。










+++++++ 道 化 +++++++










信じられなかった。


嘘であってほしかった。











――――― お前は野ブタの友達だろう!! ―――――











そう叫びたかった。


けれど、あの女は平気な顔をして笑っていた。











そして思い浮かんだのは野ブタの傷ついた表情と・・・・


泣き顔・・・・・・











神様。

あなたは酷い人だ。



なんで、どうしてあいつを傷つける。



あいつはあなたに何をした?

どうしてあいつばかりが、こんな酷い目に遭わなければならないんだ。



あいつは傷ついている。

それは俺が知っているよりも深く、ずっと深く―――――



底知れない心の傷が
今でもあいつを縛り付けて心が血の涙を流し続けている。











なのになんであなたは、


膿んだ傷口に刃を突き立てるようなことをするんだ!!!!











求めたのは救い。








けれど、神様は何もしてくれない。











知ってしまった俺、

何も知らない野ブタ。
















あいつを守らなければ・・・・・
















頭に浮かんだのは、その言葉。

たった一言その言葉だけだった。





頭の中が真っ白で、それ以外何も考えられなかった。

けど、あいつをこれ以上傷付けさせてはいけないと心が警告を発した。











野ブタの初めての友達は友達ではなかった。











あんなに友達ができたことを喜んでいたのに―――――




そのことを想うと、ジリジリと胸を締め付ける。









そして、湧き上がる怒り――――――









このことが野ブタに知れれば
本当にあいつは人を信じることができなくなるだろう。














最悪の場合、
あの女が望んだシナリオの通りになってしまう。














あの女は何を考えている。





何が望みだ。

いったい何がしたい。

どうして野ブタを傷付ける。





疑問は溢れ出るほどにある。











俺は、野ブタを守るためにどんなことができる?















野ブタ。















俺が唯一、自分を作らないで側にいることができた、
心を許せる二人のうちの一人。



無理に人気者でいる必要さえなかった。



彰と野ブタ、その二人の前だけでは本当の自分でいることができた。







たぶん自分が思っているよりも、
あの二人は俺にとって必要であり大切だった。







俺は今、人気者ではない。







今の立場は前のそれと180度反転し変わってしまった。


それでも、あの二人だけは変わらず俺と接してくれた。







それだけで心は救われた。


あたたかいものが胸に溢れた。













俺を救ってくれた――――













今、俺に何が出来るだろう


今、俺が出来ることはなんだろう











野ブタ――――――











どうか傷つかないで


君は傷つかないでいいんだ





どうか泣かないで


君は泣かなくても大丈夫だから











―――――― 俺がお前を守るから











たとえどんなことをしても俺がお前を守ってやる





俺が傷つくくらいなんでもない


お前が傷つくくらいなら


俺が進んで怪我でもなんでも負ってやろう








お前がずっと笑っていられるように俺がお前の為のピエロにでもなってやろう








――――― ああ








何時からこんなことを考えるようになったんだろう


何時から俺はこんなにあいつを大切だと思うようになったんだろう











――――彰に対してとはあきらかに違う感情











俺はこの答えを知っている


本当は自分の中でもう答は出ている








でも、


それでもまだこの気持ちには気付かないでいよう








お前が大切だから


お前を傷付けたくないから








だが、この感情はいつか、そう遠くない未来に溢れ出るだろう











それもわかっている・・・・・











それでも、今この感情はお前を傷付けるだろう。







だから俺は自分のこの気持ちにも蓋をしよう、


お前を傷付けない為に―――――










俺がお前を守ってやる。



















End







++あとがき++
久方ぶりの更新です。
初。野ブタ。それも修二片思いで独白。

ついでに、この小説創ってる途中で
本人も何が言いたいのか良くわかんなくなって
どうしたもんかなぁっと思った作品です。<笑>


h18.4.20


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