「父・・・上・・・・・・
浄土など・・・・・・私には・・・・・・
ゆけるはずも・・・・・・」
+++++伝えることも叶わぬ想い+++++
常春の平泉。
風が優しく全てを包む。
泰衡は木に力なく寄りかかっていた。
自分の体から大量の血液が流れ落ちる。
体を引き裂くような痛みが全神経を支配する。
もう意識を保って・・・いられない――――
意識が途切れてゆく
目の前が白く黒く一色に染め替えられてゆく
なのに・・・・・・・・・・
なのに、どうして
最後に浮かぶのは
あなたの笑顔なのだろうか―――
でも本当はわかっている
私はあなたに惹かれていた
それを認められなくて
認めることが出来なくて
あなたに最後の最後まで散々な態度をとっていた
あなたを傷つけるたびに胸のどこかが確かに痛んでいた
それでも自分のうちに確かに宿る想いを認めたくなかった
もっと早くにあなたに出会っていたらと、考えた事さえあった
私には八葉のようにあなたの確かな繋がりが無い
それでも私はあなたを
唯一の存在である、あなただけを
愛していた――――――
泰衡が意識を手放したと同時に強い春風が花弁を舞い上げ、
頬を一滴の涙が流れ落ちた。
泰衡はもう伝えることも叶わぬ想いを胸に抱いて、
暖かく優しい風に身を任せ永久ともいえる眠りに付いた。
まるで神子のような、
あたたかな陽だまりに身を任せて――――――――――
――――――――― End
>>>>>あとがき
初書き泰衡さん。
ああ、何で・・・・・泰衡さんは十六夜記でスチルがないのでしょう。
本気でスチルが欲しかった。(>△<)ノ
と言うか・・・・・・・よくよく考えてみました。
これ死ネタじゃん。
今気付いたよ。(遅)(−ω−);
h19.8.22
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