もう放さない・・・・
大切な人。
あなたを知ってしまえば、
あなた以外を受け入れることなんて、もう出来ない。
+++++ 性感帯 +++++
最近野球部1年レギュラー陣は、
学校の屋上で一緒に昼飯を食べることが多くなった。
最初は屋上で十二支野球部アイドル的存在の猿野と
沢松とかいう本誌であまり姿を見せない写真部のやつと二人で昼食を取っていた。
けれど猿野の「あんまりいつもとかわんねぇ」の一言で、
猿野が子津を誘った(連行したというか、喜んで連行された。)のがこと始まりだった。
そして気が付けば兎丸がいて、
兎丸につれられてという名目で俺も一緒にいた。
あといつも喧嘩しているはずの犬飼まで
不機嫌な顔で気が付けば普通に昼食を食べていた。
そうなれば犬飼の面倒見役の辰羅川も
居るのがさも当たり前のように昼食を食べていた。
だから最近昼休みは部活並に騒がしかった。
「あぁ、昼飯食った後の授業なんて、かったるくて出てられっか俺は眠い!!
俺は寝るぞ!!沢松、あとを頼む!!」
「いきなりなに言いだすんだよ天国!!授業くらい出やがれ」
「そうっすよ、ちゃんと授業に出ないといけないっす!
後で困るの自分っすよ!!」
「テリブルですよ猿野君」
急に猿野が沢松に話しかけた。
子津はちゃんと授業に出るように猿野に促している。
辰羅川もとりあえず出ろといっているみたいだ。
「あぁ!!なんだと。
てめぇだってこの間、俺にノート任せて保健室でサボってただろう!!」
「いやぁ。昼飯食った後はどうしても眠くなってしまってなぁ・・・・」
「同じだろう!!このエセハンサム様が!!」
「なんだとう!!この世紀のハンサム様をつかまえてエセハンサムとは何だ!!」
「だってそうだろ、この脇役面!!」
「・・・・・ぶっころ・・・」
「まぁまぁ二人とも〜」
子津が止めに入ったが、あまり意味はなかった。
猿野と沢松がしばらくの間ギャーギャー言い争っていたが、
結局はどちらにも軍配が上がらず、なぜか急に猿野が俺に話し掛けてきた。
「たく、人間、眠いときには寝なきゃいけない!!これは俺の結論だぁ!!
どうせ授業中に寝るんだったら、天気もいいし今日はここでサボる!!
な、司馬もそうしたほうが良いとおもわねぇ・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・ (汗)」
俺は驚いた。
いきなり彼が俺に話し掛けてきたのだ。
いつもより返事の間はあいてしまったが、
それでも俺は平然を装って彼に返事を返す。
俺は彼の制服の袖を軽く引っ張って首をフルフルと横に振る。
いつもの動作だ。
いつもと変わりない。
大丈夫俺は落ち着いている。
俺は彼の服を引っ張って授業に出るように
少し困った顔を作りながら彼に動作で訴える。
けれど、実際に言ってしまえば彼に意見する気は毛頭無い。
俺だって午後の授業なんて出たくないのだから。
それでも、俺は彼にイケナイと促す。
「ちぇ〜・・・・司馬は真面目だよなぁ」
「・・・・・(汗)」
俺は少し返答に困ってしまう。
俺は別に真面目というわけでもないのだから。
ただ、めんどくさいけれど、授業に出た方が彼のためだと思ったからだ。
ドンっ!!
「兄ちゃん、さっきからおじちゃんと司馬君とばっか話しないで
僕とも話そうよう!!」
兎丸は座っていた猿野に、
上から覆い被さるように抱きついて言った。
兎丸も猿野のことが好きである。
彼は彼なりに自分の愛らしい姿を大いに活用して
猿野にベタベタ触っていっている。
俺はいつもそれが気に入らない。
「痛ってぇ!!急に何しやがんだスバガキ!!
いつも言ってるだろ、急に抱きつくんじゃねぇっての!!」
「だって兄ちゃんって、なんだか抱きつきたくなるんだもん。」
「なんだよそれ・・・・」
猿野はあきれながら兎丸に言った。
「・・・だって、兄ちゃん全然かまってくんないんだもん。」
「はいはいはい。たく、しかたねぇなぁ・・・・」
猿野はそんなことを言うと
兎丸の頭をクシャクシャと軽く撫でながら苦笑していた。
兎丸もエヘヘヘッと無邪気に笑って猿野に撫でられていた。
だけど俺は知ってる。
普通の奴だったら兎丸はこんな風に撫でられたりしない。
普通の奴が撫でようものなら、
とんでもなく黒い笑みとキッツイ言葉が返ってくるのだから。
猿野だから兎丸は嬉しそうに撫でられているのである。
そんなほほえましい光景に、俺の胸の奥がジリジリと熱くなる。
俺は知ってる、この気持ちの正体は嫉妬。
ああ、咽が渇く。
嫉妬の炎が胸を焼く。
そこへ急に犬飼が会話にまざってきた。
「とりあえず、だから猿はさらにバカになるのか・・・・プッ。」
「なんだとコゲ犬!!」
「兄ちゃん気にしないの!!
いちいち犬飼君の喧嘩を買ってたら日が暮れちゃうよ!!」
「犬飼君も猿野君に喧嘩ばかり売らないで下さい。」
「止めるな辰」
「止めなきゃ誰が止めるんですか、たく・・・・」
喧嘩を止めに辰羅川と兎丸が入った。
だがそんなことを言いながら犬飼と兎丸は、
目で会話をしているようだった。
俺にはその会話が、はっきりと聞こえた。
でも・・・・相変わらず辰羅川は呆れているみたいだが・・・・
(ちょっと犬飼君、兄ちゃんとのスキンシップの時間じゃましないでよね!!)
(とりあえず、邪魔だ失せろ。)
(うわー・・・・おじちゃんの癖に僕にそんなこと言っちゃうんだぁ)
(・・・とりあえず、チビにそんなことを言われる筋合いはない。)
(もう2人とも、いい加減にしなさい・・・・)
犬飼も猿野のことが好きみたいだ。
それでも喧嘩でスキンシップを図ろうとするのはどうかと思う。
はっきり言って1年の中で1番モテルのに行動がヘタレである。
そのあたりを考えると、
1番印象には残っているみたいだが1番嫌われていると思われる。
まぁ、俺たちにとって好都合には変わりない。
ライバルは一人でも少ない方が良いのだから・・・・
実際、猿野はモテル。
それも男女問わず全てを惹きつける。
だから余計にやっかいなのだ。
猿野がふざけた事をしなければ実際もっとライバルは多いだろう。
あのふざけた行動を除けば、いくつか見えてくるものがある。
意志の強い大きな瞳。
瞳と同じ亜麻色の、風に揺らめく心地の良さそうな髪。
あまり日に焼けていない白くて滑らかな肌。
バランスのとれたしなやかな肢体。
そして全てにおいて人を魅了する太陽のような笑顔。
だから、猿野に近い人物ならば気付く。
猿野がどのような人物なのか・・・・・
だから、近い者たちは落ちたのだ。
猿野のクラスの生徒。
そして、野球部。
(おもに名前に動物が入っているレギュラー)
今では他校の野球部員までもが
猿野を自分の毒牙にかけようと狙っている。
だから俺たちは安心してもいられない。
守らなければ・・・・と思う反面、
校内でも熾烈な争奪戦が行われている。
まさに四面楚歌。
気を抜くことを許されない。
二人の間でしばらく凄まじいにらみ合いが続く。
ようやく猿野が兎丸の言葉に納得したかのように返事をした。
――――――――― to be next |
>>>>>あとがき
初、BL小説。
いやぁ、なんか恥ずかしいですね。(テレ)
それも・・・・
ミスフルかよ!!って、突っ込みいただきそうです。
実はこの小説、多分3年以上前に書いたような気がします。
めっさうろ覚え・・・<汗>
でも、書いたんなら載せないとと思いここへ・・・
流石に表に置くのはちょっとと思ったんです。
表がマジ、ノーマルばっかなんで・・・・
あたし的には馬猿ほぼ一番好きかな。
でも、総受け系はもっと好き。
まぁ、とりあえず連載なんで気長に続きをお待ちくださいませ。
直しが多すぎて途中でめげそうです。
H18.7.9
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