「・・・・そうだな。俺は寛容だからな〜」


「とりあえず、正論を言ったまでだ。
これ以上バカになりたくなければきちんと授業を受けることだ」


「かーーーーーーーー!!やっぱムカツク、てめぇなに様のつもりだ!!」


「とりあえず、俺様」


「うわ、嫌なやつがここにいる。
てめぇなんて家に帰って引篭りでもやってろ、コゲ犬!!」


「ぶっころ・・・・」


「もう、兄ちゃ〜ん!!」





どうやら兎丸の静止の声も聞こえなくなるくらい白熱しているみたいだ。
猿野に兎丸が抱きついたままだが猿野は全然気にも留めず犬飼と喧嘩をはじめた。


それから少しして、兎丸が痺れをとうとう切らした。








ツゥ―――・・・・・











「うひゃ・・ぁん!!」


いきなり猿野が怒鳴りあっていた音域とは違う声を上げた。











その声を聞いた瞬間、俺を含めた全員がビシリッと固まった。


周りを見れば、怒鳴りあっていたはずの犬飼の顔が、
その声を聞いた途端みるみる頬が赤く染まっていった。

喧嘩の様子を呆れて見ていた辰羅川も、
オロオロしていた子津も行動を起こした兎丸も赤い。


多分俺も赤く染まっているだろう。


だが、沢松だけは皆のその反応を見てヤレヤレといった感じだった。





「い、いきなり何しやがるスバガキ!!」





皆に負けじと赤い顔をした猿野は兎丸に詰め寄った。





「え、あ、えっと・・・・ごめ・・んなさ・・・い・・」





顔の赤い兎丸はまだ思考が追いついてないみたいだ。

その声を聞いたとたん、いつもはなかなか離れない兎丸が、
驚いて猿野から咄嗟に離れてしまったほどだった。

そんな様子を見ていたが、なんとなく少し気まずい雰囲気が流れた。





だがそれを破ったのが彼、沢松だった。





沢松は猿野に1番近い人物である。

そして誰よりも彼を理解している。

だから俺たちが知らないことを当然のように知っている。





「ま、そういってやるな天国。兎丸は知らなかったんだろう」


「う"――――・・・・それはそうだけどさぁ」


「ま、天国も思わなかったよな。まさか、『首』舐められるなんてなぁ」


「笑い事じゃねぇ・・・・」





顔を赤くして猿野は沢松に応えた。





「・・・・・首・・・だめなの?」





兎丸がまだ全然赤みの引いていない顔で恐る恐る聞いてみた。

その問いには沢松が答えた。





「つーか、ダメなんてもんじゃねぇな。
こいつ首が、ものすっごくダメなんだよなぁ〜 なぁ、天国」


「ダ、ダメじゃねぇ・・・・」


「今更言ったってオセエッての、この際だから俺が言ってやる」


「うわ、言うんじゃねぇバカ松!!」


「世紀のハンサム様に向かってバカとはなんだ!!」


「バカだからバカって言ったんだよ!!」


「・・・・・ふぅ〜ん・・・・俺にそんなこと言うんだぁ。」


「そんな、爽やかな笑顔で俺に応えるなぁ!!」





そんなやり取りをして、沢松はおもいっきり笑顔で俺たちに言い放った。










「こいつ首が性感帯なんだ」










「性感帯ってゆんじゃねぇ!!!!!!!!!!!」


「実際そうだろ〜」


「性感帯じゃなくって、くすぐったいだけだ!!」


「くすぐったいだけなら、お前そんな声上げねぇだろ〜、
ただでさえくすぐったがりなのによ・・・」


「・・・・・うっ・・・」


「それに、お前くすぐったいと直ぐ笑い出すもんなぁ」


「そ、そんなのわかんねぇじゃねぇ・・・・」


「・・・・諦めが悪いぞ天国」





その言葉を発したと同時に沢松は優しく微笑んだ。
そしてそれはまるで『悪魔のような微笑』だったと後に猿野は語った・・・・・








「『秘儀:ミラクルローリングサンダーKENGOスペシャル』」











ワシャワッシャワシャワシャワッシャ・・・・











「にぎゃはははははははははははっは、
いひぃぃぃぃひっひっひぎょホひゃひひギャははいヒヒ・・・○△@×◆!!」








でっかい笑い声が大空に響いた。

最後の方は何を言ってるのかよくわからなかったが、
沢松が遠慮なく猿野のわき腹をくすぐった。








「ふー・・・ふー・・・はぁぁ・・・い、いきなり何しやがる!!」








笑い疲れか少々というか、大分ぐったりとした猿野は沢松を睨んだ。





「いや、俺様が今ここで立証してやっただけ。な、全然違うだろう。」





俺たちはただ呆然と成り行きを見守り頷いた。





「あ"――――――――、ばれちまった!!」


「いや、普通にばれてると思うぞ・・・・」


「てか、性感帯・性感帯って言うんじゃねぇよバカ松。
もっとマシな言い方あるだろう!!」


「ね・え・よ、こっちの方が分かりやすいだろう」


「何がわかりやすいだ!!」





そんなこんなで、しばらく沢松と猿野が言い争いをしていた。

だが言い争いをしていた沢松がヤレヤレと時間確認のために携帯を見た。





「あ、もうこんな時間か」


「ほら、とっとと行きやがれ!!」


「たく、次の授業には帰ってこいよ。」


「・・・・・」


「返事しろよ・・・・」


「ま、部活は出るから。」


「・・・・・・はぁ」





そのやり取りを最後に猿野以外が屋上を離れた。


それから少しして兎丸が沢松に話し掛けた。





「・・・・・ねぇおじちゃん」


「なんだ?兎丸??あと、おじちゃんじゃねぇよ」


「んじゃ、沢松君。」


「ん、よし。で、なんだ?」


「兄ちゃんそんなに首ダメなの??」


「ん、ああ。そうだぜ。昔っからな。ほかにもダメなところ色々あるけどな。」





沢松は面白そうに笑いながら言った。

俺はそれが少し気に食わなかった。





「猿野君そんなに首がダメだったなんて全然気づかなかったっす。」


「いや、普通は気づかねぇと思うぞ。あればれたの不可抗力だったし。」


「テリブルです。そういえば兎丸君は何故猿野君にあのような事を??」


「ん?だって、僕と話してたのにさ、急に犬飼君と喧嘩はじめちゃうんだもん」


「・・・・つまり、それが気に食わなかったと言うことですね」


「う〜ん・・・・はっきり言えばそうかなぁ」


「二人とも〜・・・・落ちつくっす。」





猿野と離れたことで、兎丸の黒い部分が少しずつ出てるみたいだ。








『とりあえず、猿は首が弱いのか・・・・・』








俺の耳に犬飼のその言葉が急に入った。


それは誰に聞かせるわけでもなく、
自分の中で復習するようにボソリと呟かれていた。


俺はなんとなくだが、
だが確かにその瞬間に犬飼から危険な感じがしたように思えた。


犬飼に目をやると、目はどこまでも真剣なのに顔が一瞬笑っているように見えた。





その瞬間にゾッと背筋に冷たい何かが走った。





しかし、そろそろ分かれ道に着いた。

そこで皆がバラバラになる前に沢松が忠告のように言い放った。








――――――――― to be next

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>>>>>あとがき
お久しぶりです!!
およそ一ヶ月ぶりの裏更新。
いやぁ、ひさしぶりっス。マジで!
のんびり更新でスンマセン<滝汗>
H18.8.9


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