(お・ま・け)





今日は偶然部活が中止になったので早く帰れることになった。


そして猿野は沢松と教室を出ようとしたとき、色々な面々に引っかかった。








どーんっ!!!!








「いってぇ!!って、またかスバガキどうした?」








「兄ちゃーん!一緒に帰ろ!」


「あ、兎丸君ずるいっす。俺も一緒に帰りたいっす。」


「とりあえず。とっとと帰るぞ。」


「・・・・・・(照)」


「宜しければ、ご一緒に帰りませんか?」


「やぁ、猿野君。よかったら今日は僕の家によって行かないかな?」


「猿野、我と一緒に帰る也」


「さっるの!!」


「一緒に帰るばい」


「帰るze★」


「猿野!!一緒に帰るのだ!!先輩命令なのだ!!」


「うがぁぁぁぁぁぁ!!」








「あー・・・・・今日はちょっと用事があるんで沢松と帰ります。」








すんません。


猿野はすまなさそうに頭を下げて帰っていった。








どーんと沈んだ空気の中。


猿野が去ったのを見送った面々は、


後日『オールバックを闇で狩りまくり連合』を結成したとかしてないとか・・・・





まぁ世の中、平和が一番です。





それでも猿野は家路に向かう途中。


他校生の何人にも『一緒に帰ろう』と何度も誘われたが、


「今日は沢松と一緒に帰る」といって帰路に誘った人達は全て断られていた。


無理矢理ついていこうとした人達は猿野から「付いて来るな」と釘を刺されたことは言うまでも無い・・・。





ちなみに沢松は断られた人から、おもいっきり睨まれていた。


もちろん猿野はその状況に気付かず、沢松はおもいっきり無視を決め込んで帰った。


猿野の鬼ダチをやるというのなら、


こんなことに一々気に止めていると体が持たないというのが一つの原因だ。





常人ならば、一週間と持たずに胃がやられてしまうだろう・・・・。


それほど猿野の鬼ダチであるという位置は厄介なのである。


簡単に言えば、沢松だからこそ何とかなっているようなもだった。











しばらく帰路を歩いて行くと、


だいぶん周りが静かになったので猿野が沢松に話し掛けてきた。











「・・・・な〜、沢松」


「どうした?天国。色んな誘い断って俺と帰るって事は、なんかあったんだろう。」





「・・・・俺、司馬にキスされた。」





ズガシャン!!


予想だにしていなかった言葉に沢松は地面にめり込んだ。





「あ、天国・・・・・・一体どういった経緯でそうなった。パパにちゃんと分かるように話してみなさい。」





沢松パパはいきなりの事実に度肝を抜かれた。





「誰がパパじゃ!!ま、とりあえず・・・・・ちっ!!犬の言葉が移っちまった・・・・

なんかさ、屋上で・・・・(小略)・・・・・てなわけよ」


「・・・・そ、そうか。」





心の声→(・・・・・司馬・・・・いきなり手を出してどうする。)





「でも最後に首にキスしてきたときはびっくりしたけどなぁ」


「首にキス!!」


「ん??なにそんなに驚いてんだ??」


「だって、お前、首が性感帯なのに・・・・・」


「だから性感帯って言うんじゃねぇ・・・・でも、なんか目印がどうのこうのって言ってたなぁ」


「目印??」


「な、わかんねぇだろ」





沢松は何かピンと来た。





「あ、天国ちょっと首見せてみろ・・・・・」


「ん??ああ、別に良いけど触るなよ」





(・・・・・あ、ガクランで微妙に隠れてるけど、やっぱりあった・・・・・キスマーク)





「・・・・・あ、天国・・・・落ち着いて聞け」


「ん、どうした沢松??」


「首にキスマークついてるぞ・・・・・」











――――――― 間 ―――――――











「な、なんだとーーーーーーーー」


「・・・・気付くのオセエよ・・・・ていうか、普通わかれよ・・・・・」


「でも・・・・・こりゃ、今日の部活があったら絶対ばれてたなぁ・・・・」


「司馬め・・・・あのやろう・・・・・」


「はぁ・・・・・で、今回の報復はどんなことするんだ・・・・・」





沢松は、ヤレヤレといった顔で猿野に話し掛けた。


それを聞いた猿野はキョトンとしていた。





「あん??何言ってんだ沢松??今回は別に報復とかしないぞ??」


「・・・へ?」


「だってぇ〜、俺あいつのこと好きだしぃ〜」


「ええっ!!」





沢松は本当に驚いたような声を上げた。





「いや、別にそんなに驚かなくても良いだろ。

それに、あいつが『付き合ってくれ』って言ってきたら付き合うつもりだぞ俺。」


「マジか!!」


「おお。もう好きって言われたし、キスされたからなぁ。それに俺もあいつ嫌いじゃないしさ」


「お前の嫌いじゃないは、好きってことだろ・・・・・天国・・・・」


「ま、そうとも言うな。」


「てか、お前の場合そうとしかいわねぇだろ。」


「ま、いいじゃねぇか。俺嬉しいし。」





沢松はボソリと独り言をつぶやいた。





「・・・・・まさか、忠告した日に天国が、かっ攫われるとはな・・・・」


「ん??なんかいったか沢松??」


「何でもねぇよ・・・・」


「ま、お前が良いんだったら、良いんじゃねぇの??」


「おお、お褒めの言葉と受け取ってやる」





そういった猿野の顔は本当に幸せそうだった。





「あ、そういやな沢松。ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ」


「ん、天国まだなんかあんのか?」


「おお、耳触られたり声聞いただけでさ、力が抜けることって、あるんだな」





「・・・・・・・・・・・・・・・・は?」





「いや、だから。なんか司馬に耳触られたり声聞いたりしたら力が抜けて、

しばらく動けなくなったんだよ」


「な、なんだと!!」


「いや、別にそんなに驚かなくても良いじゃねぇか」


「司馬は知ってんのか!!」


「え、いや、知らねぇと思う・・・・司馬がちょうど屋上出て行ってから、

足腰の力が抜けて動けなくなったから・・・・で、それがどうしたんだ?」


「・・・・のんびりしてる場合じゃねぇぞ天国・・・・・・」


「??・・・・・どうしたんだ沢松??そんなに思いつめて??」


「ヤバイ・・・・ヤバ過ぎる!!」


「だから何が??」


「・・・・このままじゃお前、お持ち帰りされるのも時間の問題だ!!」





「・・・・・・・・・・・は??」





「司馬の声を聞いて動けなくなる=体の力が抜けて司馬お持ち帰りされる。」


「はぁ??」


「つまり貞操消失=お赤飯。だ!!」


「・・・・・おい、何でいきなりそんなとこまで飛ぶ・・・・」


「据え膳食わぬは男の恥!!」


「・・・・・・・・そこまで力説しなくても・・・・・・」


「天国・・・自分が受け入れたんだから、自分で自分を守れ」





沢松は諦めきったような、全てを見守るような、全てを受け入れたような、

そんな優しい目を猿野に向けて・・・





グッジョブ★


みたいな笑顔を親指を立てて猿野に送った。





その様子を見た猿野は事の重大さにやっと気付いたのか見る見る顔を青くさせた。








「うわーーーーーー!!バカ松なんとかしろーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」








どうしようもなりません・・・・・・

















+++ これで本当におしまいv +++

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>>>>>あとがき
お久しぶりです。
オマケを作ってみました。
本当に長々とお付き合いいただきありがとうございます。


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