音も光も何もない空間。

上も下も右も左も分からない



ただ自分だけがここにいる。

だが俺は本当にここに居るのか?



それすらも分からない。

ただ意識だけが存在するような酷く曖昧な感覚







真っ暗だ・・・・・

もう・・・・・何も見えない―――――











++++ 光射す場所 ++++











ここは闇

光さえ届かない混沌



俺はいつからここに居るのだろう――――



そんな些細な問いかけさえも闇に吸い込まれ消えていく・・・・



もう疲れた、ここからどうすればでられるのかもワカラナイ





時間が俺を壊してゆく―――――





もう、いい・・・・

もう何も考えたくない





時の流れが俺を消していく―――――





全てが俺を塗りつぶしていく

もう抵抗さえおこす気になれない





俺が消えていく―――――





俺は下を向いてしゃがみこんだ。

俺は全てを諦めていた。













―――――この世界に光なんて無い



一片の救いさえも―――――













その言葉が俺の全てだった。

その言葉しか俺には無かった。



求めても、手に入ることすらなく

探しても、もう動くことすら叶わない。



そんな世界に俺はいた。















―――――それからどれくらい時が流れたのだろう・・・















気の遠くなるくらいの時の流れ



混沌の海に落ち

全ての感覚がなくなり

闇に全てを奪われつつあった。









しかし、世界は次の瞬間から変わりはじめる―――――









「・・・・ぁ・・・い・・・だ・・」



闇の世界に一瞬音が響いた。

聞き間違えかと思った。

しかし、



「なぁ、お前はどうしてこんな所にいるんだ」



次ははっきりと聞こえた。

どこからか声がする。

何処かで聞いた事があるようなそんな懐かしい声。





「なぁ、お前はどうしてこんな所にいるんだ」





また声がする。

声は幻ではないみたいだ。



俺はその時初めて顔をあげた。

顔をあげるとそこには、誰かが居た。







女?







女は光っていた。

この世界に唯一の光が目の前にいた。

何故か、この世界の唯一の光だと分かった。

光に包まれている彼女は
あまりにも眩しすぎて顔を確認することは出来なかった。



だが直感的に感じた―――――







俺はこの女を知っている?







でも誰かわからない。


思い出せない。


けれどあまりの懐かしさに
狂おしいほどの愛おしさに目頭が熱くなる



どうして俺は彼女にこんな感情を抱くんだろう―――――





「なぁ、お前はどうしてこんな所にいるんだ」





彼女は俺にずっと同じ質問を繰り返していた。

俺は目の前にいる彼女にしばらくして応えた。









『ワカラナイ』









「わからない?」

『でも、俺はここから出られない』

「・・・・・どうして出られないんだ」

『出られなかったからだ』

「・・・・・?」





『俺は何時からここに居るのかワカラナイ、

はじめは俺もここから出ようと思った・・・・・

けれど、どうやっても出られなかった。

叫んだり、走り回ったり、足掻いた。

でも、どうにもならなかった。だから諦めた。』





「何で諦めたんだ」

『疲れたんだ何もかも・・・・』



「・・・・・他の奴らは?」

『ここは俺独りしかいない』

「ずっと独りなのか?」

『ああ、俺しかここに居なかった。』









「・・・・・・・・出よう」









彼女は俺の様子をしばらく見て俺にそう言った。





『何を言っている』

「お前はこんな所にいちゃダメだ」

『何を言っているんだ?
出る方法もわからないのに何で無責任にそんなことが言えるんだ?』

「大丈夫だ!」

『だからどうしてそんな無責任なことが言えるんだ』

「今はお前1人じゃない、あたしがここにいるだろ?
出る方法を一緒に探そう」

『・・・・・』





「それに、使わなきゃ背中にある翼が可哀想だろ?
知ってるか?人は誰でも生まれながらに翼を持ってるってこと」





『何を言っている・・・・・翼?』

「そうだ。翼だ。お前の背中にもホラ生えてるだろ」

『???』

「・・・・・わからないのか?」

『何を言っている?・・・俺にそんなものは無い』

「見えないのか?お前の背中に生えてるデッカイ翼?」

『・・・・・・』

「そっか・・・・でも、見えなくても翼はある。翼があるんなら飛べる。」









『・・・・・何故お前は・・・俺にそんなことを言うんだ!!』









俺は苛立ってきた。

本人が無いと言うのに、彼女は諦めない。

俺に希望を与えた。









「理由なんて、そんなもの無い!!」

彼女は言い切った。









『・・・・・・・・』





「あたしを信じろ、とまでは言わない。

でもな翼は使うためにあるんだ、だから一緒に行こう。

それにダメでも試してみる価値はあるだろ。」





『何で俺にお前は・・・・・』



「言っただろ、理由なんて無い。
飛び方がわからないないなら教えてやる。な、行こう」









彼女は俺に向けて優しく笑った後、ゆっくりと手を差し出した。









『・・・・・・』









ただ手を差し伸べてくる
あたたかい光に包まれた彼女。

俺はこの女が嫌じゃない。









―――――お前は一体誰なんだ。









俺に手を差し伸べてくれた。

俺にここから出ようといってくれた。



出る方法もわからない。

ただ孤独で、独りだった。



どれだけ叫んでも救いなんてものはなかった。

どれだけ光を求めても闇しかなかった。











なのになんでお前は・・・・・・















To Be Next・・・・・・>













++あとがき++
もちょっと続きます。
最近暗い話しか書いてないような気がするのは気のせいだろうか・・・・

H18.7.14


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