笑顔―――――





溢れる気持ち


溢れる想い





愛しい人よ


どうか気付いて





愛しい人よ―――――


――――――――――俺はここにいる














+++++ 登 校 +++++














それは学校の校門前でおこった事件だった。





学校へ向かう並木道、
生徒たちがそれぞれ登校してきている気持ちのいい朝。


生徒に軽く挨拶をしながら学校に向かう一人の女性が居た。





彼女の名前は山口久美子。


白銀高校3Dを受け持つ教師。





彼女は長い艶やかな黒髪を二つに束ねて、縁取りの無い眼鏡をかけていた。


はっきり言ってその外見は・・・・・ダサい。





しかし、眼鏡を外した下の顔は、
眼鏡を付けている時と全く違い驚くほど整っている。


そして意志の強い黒曜石の瞳が俺達を捕らえる。


いつも自分達を守ってくれる彼女は普段6つも年上とは思えないほど純真無垢で、
男である生徒達に対して少しも警戒心のない幼い表情をよく見せる。


クラスの生徒はいつしか彼女の何気ない表情に心奪われ、
自分の感情に戸惑い、胸を痛める・・・・


だが、その痛みを伴う感情に気付いた者達は、
この学校で一番敵にまわしたくない奴が敵であるという事を認識する。








その名は沢田慎。


3Dのリーダーで、いつも彼女の隣りにいるパーフェクトな存在である。








「・・・お!」





久美子は見知った後姿を見つけ駆け出した。





「おはよー!!今日は珍しく遅刻しないで来たな沢田。えらいぞ〜vv」





久美子は軽く息を弾ませながら慎の前に現れた。








今日、俺は珍しく時間通りに登校した。


そしてこいつは俺の肩を軽く叩いて俺の前を歩く。


やはり朝から元気だ。








―――こっちの気持ちも、まるで知らないで・・・・








「・・・・・うざ」


慎は久美子に気だるそうに返事を返した。








―――――どうも俺は目の前にいる担任の事が好きらしい。








気付いた時には俺は担任を担任として見ていなかった。


一人の女としてみている自分がいた。





自分の感情に気が付いたのは何時だっただろう・・・・





正直、自分以外の奴と楽しそうにしているだけで面白くなかった。











―――――わけの解らない怒りが自分の中を支配する。





この気持ちに気が付いたのは何時だっただろう・・・・














―――気持ちの正体は嫉妬だった。














ただ自分の気持ちに苛立ち、気持ちを無視して離れようとすると
色んな野郎が手を出そうとする。


それが嫌で、そんな姿を見たくなくて結局側にいた。


気付けば、彼女の隣が自分の定位置でもあるかのようにずっと側にいた。








そして俺は気付いた。














彼女は大の大人の男数人でも敵わないほどの強さを持っている
だがそれは、しなやかな強さなのだ。


彼女は力が極端に強いわけでは無い。


それなりに力はあると思うが実際は喧嘩が強いのだ。


もし捕まって押さえ込まれてしまえば
男と女の力の差で彼女は簡単に男にねじ伏せられてしまうかもしれない。














―――――彼女は強く・・・・














―――――故に彼女は・・・・・脆い―――――














「こら、担任の先生にむかって『うざ』とは何だ!!『うざ』とは!!

たく・・・・!!でもま、遅刻しないで来ただけ今日は良しとするか・・・

お前も毎日このくらい、きちんと遅刻しないで来ればいいんだけどなぁ〜・・・

あ、ちゃんと授業サボらないで出ろよ沢田!!」





今日の彼女はやたらと機嫌が良い。


ずっと笑ってる。


きっと来る途中に刑事の篠原にでも会ったのだろう妙に上機嫌だ・・・











ジリジリ・・・・・











嗚呼・・・・苛立つ。


嫉妬の炎が静かに、だが確実に揺らぎ始める。











なんで、気付かない。











――――なぁ、気付けよ・・・・・











なんでそんなに嬉しそうにする?











面白くない・・・・・











面白くない・・・・・











―――――どうしたらお前は俺を見てくれる?





























To Be Next・・・・・・>














++あとがき++
ひさしぶりっす。一応長期連載系。<笑>
懲りずに連載開始します。(@Д@;)
その前に、イバラヒメ完結しろよ!!って突っ込みいただきそうです。
それにまだ書き上げてない小説も・・・・・<汗>
ネタ的に大分出来てきたんで、後は文章にするだけ・・・・?
それがめちゃ時間かかりそうです・・・・ごめんなさい<汗>
頼まれものなのに・・・・


h18.6.14


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