「どうした竜?」
「・・・・・・別になんでもない。」
「ふ〜ん・・・」
隼人は竜の不穏な態度に少し違和感を感じているみたいだったが、
理由は聞かないでいてくれた。
正直助かった。
実際、タケや隼人に問いただされたら俺は普通に困惑しただろう。
自分でもこの痛みが把握できていないのに
この痛みの理由を答えることなんて出来るはずがなかったからだ。
ふと気付くと俺達はあいつから逃げるのではなく、
あいつを追う側になっていた。
まるで鬼ゴッコ。
けれど本気を出せば捕まえるのなんて、容易いだろう・・・・・
でも、この時間がずっと続けば良いのにと願ってる自分がいる・・・・・
―――― 何で俺はそんなことを思うんだ・・・・?
―――― 何で俺はそんなことを願うんだ・・・・?
俺はあいつに何を感じてるんだ・・・・?
ただあいつが俺達ではない誰かに心動かされるのが嫌だった。
もっと俺を見てくればいいのに・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?
・・・・・俺は今、何を思った・・・・?
俺を・・見て・・・・くれ・・・・・・・・??
何で俺があいつに対してそんなことを・・・・??
これじゃ、まるで・・・・・・
―――― 俺ノ頭ハトウトウ答エヲハジキ出シタ ――――
――― 何故俺はそんなことを思う?
――― 何で俺が担任の突飛な行動にこんなに悩まされる?
まさか・・・・そんな・・・・
ありえねぇだろ・・・・・あいつは担任で・・・・
―――― ジャア何デ心ガ動カサレル?? ――――
あいつは年上で・・・・
色気なんか、皆無で・・・・・
―――― ソンナコトガ関係アルノカ?? ――――
嘘だろ・・・・信じらんねぇ・・・・
―――― モウ答エガ出テルダロ・・・・?
俺がこんなことを思うのは・・・・・
それは・・・・俺があいつを・・・・
山口を好き・・・・・・・・・なのか・・・・・
認めた瞬間、何かが軽くなったような気がした。
認めてしまえば理解できた。
俺が胸に痛みを感じるのは嫉妬・・・・
あいつに俺達ではなく俺を見て欲しい、
俺だけを見て欲しい・・・そう願い想う独占欲・・・・
ただ俺だけを特別に思って欲しい。
あいつの表情、しぐさ、全てが愛しい。
あいつの喜ぶ姿がみたい。
もう2度と心を踏みにじる過ちを起こさない。
あいつを悲しませたくない。
俺達が守られるんじゃなくて、俺はあいつを守りたい。
守っていきたい。
これは誓いだ。
ただ自分の心に誓った。
もう2度とあいつを傷付けないと・・・・・
あいつ意外にこんな事なんて思わない。
あいつが、山口久美子だから俺はこんなことを思う。
自分の気持ちを認めてしまえば、
何でこんなに気持ちが軽く感じるのか不思議なくらいだった。
そして自覚した瞬間からもう1つのことが見えてきた。
―――― クラスの奴らだ・・・・
俺と同じことを感じている奴が何人かいる。
この中には厄介なことに隼人も入っている。
けど、隼人を含め、まだ周りの奴らは自分の気持ちを自覚していない。
恋が始まりかけていたり、
自分が担任を好きなことに気付いていなかったり、
ただ自分の気持ちに振り回されて四苦八苦しているようだ。
まるで、なんで苦しいのかわかっていない、
さっきまでの自分を見ているみたいだった。
多分俺がこの中で1番初めに自分の気持ちを自覚したんだろう・・・・
けど・・・・・俺は甘くない。
他の奴らが自分の気持ちに気付くまで待ってやれるほど俺は大人じゃない。
敵は多い。
あいつ本人も別の意味で強敵だろう・・・・でも、手加減する気はない。
出遅れた奴が悪い。
「山口が・・・・・・好きだ」
竜はボソリと自分にしか聞こえない程度の声で言ってみた。
ただ自分の意思を固めるために。
途中でこの気持ちを諦めたりしないように、
この諦めない気持ちを、想い人である担任から学んだのだから・・・・
山口が好きだ。
誰が相手でも負ける気はない、譲ってやる気もない!!
たとえ相手が隼人だとしても・・・・
譲るくらいなら、こんな面倒な女なんて好きになんねぇ・・・・・
絶対、俺に振り向かせる!!
自分の気持ちを自覚して、決意を新たに見上げた空は、
ただどこまでも青く晴れやかだった・・・・・
------------------------END
←Back |
++あとがき++
今度は懲りずに竜→クミに突っ走ってみました。
ついでに言えば、落ちてねぇ!!
全然落ちてねぇよ!!
なんかこう・・・・・オチを探してたんだけど、正直いい言葉が浮かばんかったのが本音です。(ハァ)
あと・・・・実はこれ、本当はバレンタインに載せようかなぁと思ってたやつです。
だって、バレンタインの話し含んでるしねぇ。
ああ、今思えばあれから1年経ってるんですねぇ。
本当に月日は流れるのが早いですねぇ。
ここまで読んでいただき誠にありがとう御座います。
てか、私が作る奴って独白が多いっすねぇ。
それでは、また。
戻る |