(はぁ、これだからあいつは厄介なんだ・・・・・)





慎は教室の常態を見て、ため息をついた。


無意識に自分たちを捕らえて放さない彼女。


クラスの全員が彼女の一挙一動に翻弄されて、笑顔一つで幸せを感じてしまえる。





彼女は自分の価値に気付かない。





捕らわれた者は自分の感情に気づかぬまま無意識に彼女に焦がれる。


ああ、なんて常習性の強い甘い毒。





「じゃ・・・・はい。」





久美子はただにこやかに、生徒たちの様子にはまったく気付く様子もなく、

ポケットに入れていた代わりの品を渡した。





しかしその瞬間、男子生徒は固まった。














「・・・・・・・・・」














「・・・・ん?どうしたんだ??」


「・・・・・・ヤンクミ・・・・これ」


「ああ、見ての通りだ。大切に使えよv」




















「これ・・・・・花札なんですけど・・・・・・・;」






















「いやぁぁぁ、実は探したんだけど家にトランプなくてさ、

でも花札ならいくつかあったから代わりって思って持ってきたんだ」


「・・・・・・・・・普通は花札なんて幾つも家にないよ」


「へ?そうなの??」


「・・・・・ヤンクミ、この花札についてる赤黒いのナンデスカ?」


「ん?ああ、それはイカサマしようとした奴の血だろ」




















「「「「「「「「「「「「「「「 血!!! 」」」」」」」」」」」」」」」






















それは3Dの心が嘗て無いほど、ひとつになった瞬間だった。


よくよく考えれば、というかもはや皆にばれている久美子の実家。


なんとも生々しい話である。





「ごめんな、なるべく綺麗なやつ持ってきたと思ったんだけど・・・・・」


「・・・・・・ヤンクミ」


「ん?どした??」


「代わりのも、もう良いデス」





「別に、そんなに遠慮なんてすんなて。大丈夫、まだそんなに汚れてないから使えるし、

あ、遊び方が分んないんなら教えるぞ♪」








「・・・・・・勘弁して下さい。(泣)」










男子生徒は、また半泣になりながら久美子の申し出を断った。








しかし後日、

久美子が持ってきた血の付いた花札は何故か3Dの教室に飾られ、

久美子が直々買いに行った新品の花札が3Dで流行っていた。


ただし、イカサマをしたら問答無用で血の付いた花札のようになると、

3Dの生徒全員が心に深く、何処までも深く刻み込んでいた。















End。















おまけ1へ  













++あとがき++
これで「Cards」は終了です。
長い間お付き合いいただき誠にありがとうございます。+。:.゚ヽ(´∀`。)ノ゚.:。+゚

そうして、体力無くてごめんなさい。

本当はオマケは1つのつもりだったんですけど・・・・
どうも、体力と気力と努力が足りなくて編集追いつかず、二つに分かれました。。(ノд<。)゜。
だからいつも中途半端な長さで小説が切れてしまう・・・・・lllorz

本当にすみません。。(ノд<。)゜。

H20.5.1


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ちなみに余談。


久美子さんにトランプをグシャグシャにされた彼は、

後日、慎からきちんと新しいトランプを貰ったそうな・・・・・・・

そして慎は久美子がまともにトランプを返すとは思っていなかったみたいだった。







コレでおしまい。+。:.゚ヽ(´∀`。)ノ゚.:。+゚