慎は表情を崩さなかったが、内心凄く嬉しかった。
誰でも好きな人の側に少しでも居られると思ったら嬉しいものである。
けれどその慎の微妙な変化に偶然気が付いたのはクマだった。
「・・・・・なんか慎、さっきより機嫌・・・・いい??」
「「「え!そうなのか!!」」」
三人は慎の方にいっせいに振向いた。
慎は三人のその反応に少し驚いたが冷静に対処した。
「・・・別に・・・ヤンクミ居れば何かと面白いし、それで良いんじゃねぇ・・・・」
「・・・まっ、それもそーだな、アイツいると面白いもんな」
笑いながら四人は応え、慎は内心ホッとしていた。
けれど、そんな4人の笑った顔を見て、慎はなんだか少し嫌な予感がした。
そして最終的に話がまとまった所で久美子に切り出した。
「ヤンクミ!!」
「ん、なんだ・・・クマ」
この話を切り出したクマが久美子に告げる事になった。
「その・・・俺達と一緒に遊びにいかねー・・か・・・」
最後のほうは、少し声が小さくなっていた。
誘ったは良いが、もしかしたら断られるかもしれないとも思ったからだ。
しかしソレは杞憂と終わった。
久美子はそのお誘いの言葉に少し驚いていたが、その姿は目に見えて喜んでいたからだ。
「珍しいな〜、お前らの方から誘ってくるなんて・・・」
そんな事を言っているが、凄くうれしそうなのがよく分かる。
本当にあたたかくて、まるで太陽のような綺麗な笑顔を俺たちに向けてきている。
その顔を見た、慎は一瞬見惚れてしまっていた。
が、すぐさま立ち直って自分以外の4人を見た。
やはり、皆少し顔を赤くして見惚れていた。
慎は皆のその顔を見て、心の奥が針で刺されたように何かチクリとした。
また、嫌な予感がする。
その予感がだんだん近づいてくるような嫌な感じがする。
イヤ・・・・・これはもう、確信だ。
ウッチー、野田、南、クマ・・・・・・確実に全員だ。
全員が確実に山口久美子に対して担任としての親愛ではなく、恋愛感情としての好意を持っている。
―――――唯一の救いは、俺以外はまだ自覚していない。
という事だけだ。
けれど確実に心奪われてる。
ああ、もう。。。
こいつはいったい何人落とせば気が済むんだ・・・・・・無意識にもほどがある。
慎は本当に頭を抱えたくなった。
俺たちの担任はあまりにも性質が悪すぎる・・・・
なのに惹かれずにはいられないほどの、求めずにはいられないほどの光を放つ。
初めは、こんなに性質が悪いとは思わなかった。
けれど、こんなにあたたかく優しい光を目の当たりにすれば・・・否、知ってしまえば、
諦めるなんてできるはずもなかった。
これ以外の光なんて欲しくなかった。
この光だけでいい。
この人だけでいい。
彼女だけで良い。
彼女じゃないと嫌だ・・・・・・
愛おしくて
愛おしくて
狂おしいほどに
何よりもイトオシクテ
本当は俺以外にこんな眼で見られることさえジリリと胸を焼く
俺以外に誰も見られないように彼女を閉じ込めてしまいたいと思うほどに
どうしようもなく心が担任を山口久美子という一人の人間を求めてしまった。
グッと慎の拳に力が入る。
けれど何度彼女に手を伸ばしても彼女には届かない。
「・・・・・ん?どうしたんだ??急に黙り込んで?」
久美子はキョトンと五人の次の言葉を待っていた。
久美子の笑顔で一瞬ボーっとしていたクマは、
その声で、やっと立ち直って頭を左右に振って久美子に話し掛けた。
「えっと、その。・・・・それは・・・今日のヤンクミ、なんか元気がなさそうだったから・・・」
「えっ・・・・」
「ヤンクミお前、機嫌が良い時も悪い時もハッキリ言ってわかりやす過ぎ!!
何があったか知らねーけど今回は俺達から遊びに誘ってやるんだから、ありがたく思えよ!!」
内山が少し顔を赤らめたまま久美子に、そのまま説明した。
「・・・・・お前ら・・・・・ありがと」
久美子は本当に心から嬉しかった。
野田も南も「これっきり・・・だからな!」と照れたように付け足し、
六人で楽しそうにボーリング場に向かった。
ボーリング場に向かう途中、
久美子は5人に遊びに誘われた事を心から喜んで、ずっと笑顔だった。
ウッチー、野田、南、クマは自分たちよりも楽しそうにしている彼女を見て心から嬉しく思った。
ただ一人、慎の胸に密やかに宿る狂気など誰も知る良しも無く・・・・・・
to be next・・・・・・>
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++あとがき++
5ヶ月以上ぶりの更新ですね。はい。
すみませんこんな中途半端な文で・・・・・・もうなんだか、申し訳ない。
やっと、少しずつですけどお話が進んできましたね。
あ、今回はんなり総受けッポイところがありますがスルーして結構です。
あんまりお話しに関係ないです。
でも機会があったらこれ関係のサイドストーリーなんかも作ってみたいですねぇ。
h21.2.28
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