何も聞こえない


何も聞きたくない


絶望の音しか・・・・聞こえない―――――





ああ、このままでは俺を構成していた全ては崩れ壊れてしまう。





いや、もう・・・・


どうせなら狂ってしまえばイイ―――――


狂って発狂して何も感じなくなってしまえたら俺は楽になれるのに・・・・・





か細い理性が、それを抑えている。









++++ イバラヒメ 中編 ++++  NO・3









嗚呼、狂ってしまえ―――


俺から彼女を奪った世界。





嗚呼、狂ってしまえ―――


彼女を守れなかった俺自身。








心が、ゆるりと闇に蝕まれ病んでいく、

それでも微かに残る僅かな希望が崩れそうな俺を繋ぎ止める。











彼女ハ マダ 生キテイル・・・・・・・











それだけが最後の砦。


まだ俺が俺であることが出来る、たった一つの希望。











それが崩れてしまえば、俺は俺でいられなくなる――――――











「・・・・もう、誰でもいい・・・・・何でもいい、

お願いだ・・・あいつを・・・・・・助けて・・くれ・・・・・・ッ」








今なら悪魔にさえ祈ることが出来る。


この命を差し出してもかまわない。











(彼女ガ俺ノ全テナンダ・・・・・・・・)











今宵、幾度となく流した涙。


まるで涙の止め方を忘れてしまったかのように慎は声を殺して泣き続けた。





彼は、どうしようもない絶望の淵に立たされていた。


それほどに彼女の存在は、何よりも大きなものだった。








それこそ、自分が思っていた以上に・・・・・








なのに一番大切な、一番必要な彼女だけがイナイ。


今、これほど求めているのに常春のような彼女が隣にいない。








彼女は蒼く静かに、


死に最も近い場所で眠り続けている―――――








嗚呼、なんという事だろう・・・・








誰でもいい。


何でもかまわない。


俺の世界に彼女を返して下さい。








頬に幾重にも折り重なった涙の跡。


それは眠り続ける彼女以外に止める術すらなかった・・・・・・・・・・・・














―――――そして・・・奇跡は起きる―――――




















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++あとがき++
次は久美子さんサイドです。(>△<)ノ

今はまだ久美子さんと慎はバラバラで行動中です。
そしてこの中編はいったいどれくらい長くなるんだろう・・・・想像がつかない(汗

h20.4.19


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