お願い!!
誰か助けて!!!!!!
そう願っても、どうしようもなかった。
流れる時間はいつも残酷で・・・・・・
++++ イバラヒメ 前編 ++++ NO・10
ねぇ、お母さん。
なんでシロ動かないの??
シロのお腹から音がしないよ??
ねぇ、お母さん。
なんで泣いてるの??
ねぇ、お母さん。
明日にはシロ元気になってるよね??
ねぇ、お母さん――――――――――
道路で血を吐いて、まったく動かなくなったシロを抱き上げ、
俺は不安そうに母に聞いた。
問いかけた母はただ何も言わず、シロに向けて涙を流していた。
そして俺に言葉を紡いだ・・・・・
「・・・・慎、シロはもう動かないの」
「なんで??」
俺は死をまだ理解しきれていなかった。
シロを轢いた車はシロを轢いたことを無視して、走り去っていった。
それでも母はただ涙を流しながら
「もう、シロと遊べないの・・・・」
俺は母のそんな様子にただ不安を募らせた。
俺はその時、死を知らなかった。
「なんで!!だって、さっきまであんなに元気だったよ!!
どうして、ねぇ、どうして!!」
俺はその時必死だった。
俺は死を知らない。
それでも母のただならぬ雰囲気に嫌な予感、
もしくは、恐怖を感じていたのかもしれない。
「慎。シロはね、死んでしまったのよ・・・」
「・・・シ?」
「もう一緒に遊ぶことも、何も出来ないの・・・・・」
「そんなの嫌だ!!!!」
「慎・・・・・」
「ねえ!!シロを助けてよ、お母さん!!」
「慎・・・・・」
「お願いだよ!!シロを助けてよ!!!!!!!」
どんなに母に頼んでも、シロは生き返ることはなかった。
ただ腕の中のシロは、時間の経過とともに段々と冷たくなっていった。
結局誰に頼んでもシロは戻ってこなかった。
そして俺はそれから生き物を飼うことを極度に嫌がった。
たとえ、なつみが生き物を飼いたいといっても、
全力で嫌がった記憶がある。
目の前の大きな音。
車に轢かれた瞬間。
少しずつ広がる赤。
段々と冷たくなっていく命・・・・・・
あの時の傷は癒えない――――――
シロは死んだ。
自分のせいだ。
もしあの時俺が我侭を言わなければ――――――
ああ、俺は命を救うことが出来ない
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++あとがき++
皆さんお疲れ様です。
とうとう10話目ですねぇ。
結構続きましたね。
それでも、そろそろこのお話も終わります。
て、いっても前編がですけどねぇ。
h18.4.28
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