シロ。




ねぇ、シロ。




――――― シロ。




―――――――――― シロ。




ごめっ・・・・・・・ごめ・・・・っん、な・・・さい・・・・・

シ・・・・ロ・・・・・・・・・・・・









――――――――― その痛みはずっと胸の奥に・・・・・・









++++ イバラヒメ 前編 ++++  NO・3









その時の俺は6歳になったばかりだった。

そう、6歳になったばかりだった・・・・・・




でも、その痛みはきっとこれからも残っていくだろう・・・・・・

俺はあの時の痛みを忘れていない。














忘れることなんて出来ない。









忘れられない。














「・・クミ・・・・ヤンクミ!!なあ、おい、起きろよ!!ヤンクミ!!」









俺の腕の中で段々とぬくもりを失っていく担任。


俺の腕の中で段々と死に近づいている想い人。









信じられないことだらけだった。









さっきまであんなに元気だった。




さっきまであんなに太陽のような笑顔で自分を見ていてくれた。




さっきまで少し照れたように・・・・・少し不貞腐れたように・・・・














―――――― お願いです。




この世に神がいるのなら、どうかこの人を助けて下さい。




この世に死神がいるのなら、どうかこの人を連れて行かないで下さい。 ――――――














俺はそんなことを無意識のうちに願っていた。









いつもならそんなことを考えることは無い。

祈ったって無駄なことは知っている。









それはあの時にわかったことだから・・・・









祈ったってどうにもならない。


願いなんてものは自分で叶えるしかない・・・・・・









―――― 全て、わかっていた。









それでも俺は、祈らずにいられない。














どうか・・・・・




どうか・・・・・・・・・・




この人を俺から奪わないで・・・・・・・―――――














やっと出会えた。




唯一の人。




唯一信じられた人。




唯一大切だと思えた人。














唯一愛した人。














お願いです。


どうか、俺からこの人を奪わないで――――――――







俺の悲痛な願いは、ただヌケルヨウニ晴れた青い空に吸い込まれた・・・・・・




















←back   to be next・・・・・・・→











++あとがき++
はい、皆さま3話目になりました。
今回は・・・・慎の心理状況??って感じですかねぇ??

とりあえず、慎は今精神的にやばい感じですね。

h18.3.8


戻る