まるで太陽の様な彼女。




全てが光に包まれて・・・・

俺はその光を見るだけで救われた。









ああ、こんなにも人を愛しいと思える日が来るなんて思わなかった。









彼女が居るだけで俺の世界に色がつく、

彼女に出会ってはじめてモノクロの世界に鮮やかな色がついた。






愛しい人。



世界がこんなに光で満ち溢れていると教えてくれた大切な人。






お願いだから、どうかオレヲオイテイカナイデ・・・・・・









++++ イバラヒメ 前編 ++++  NO・6









「・・・さ・・わ・・・・・・だ・・?」

「頼むからもう喋るな!!!もう大丈夫だから、絶対助かるから」

「・・・お・前な・・・に・・泣い・て・・・・・・・るん・だ・・・・・?」





久美子はもうほとんど上がらない腕を懸命に沢田の頬まで伸ばした。



彼女は自分の怪我の大きさに気付いていないみたいだった。

あまりの怪我の酷さに脳の痛覚が追いついていないのだろう・・・・




自分は大丈夫だと・・・・・・




慎にむかって薄っすらと笑みをこぼした。

それより俺が何故泣くのかが気にかかっているみたいだった。





彼女はまるで、

小さな子供をあやす母の様な、そんな慈愛溢れる笑みを向けていた。



だが彼女は血にまみれ、

顔からは段々の血の気が引いて青い顔になっていった。









それは刻一刻と・・・・・・









そして、ほとんど上がらない血にまみれた腕で、

久美子は慎の頭を軽く撫でた。




それでも俺は、泣きながら彼女に叫んだ。




泣きたくて泣いているのではない。

ただどうしても涙が止まらない。


理由もなく後から後から滴が零れ落ちてゆく・・・・・





その涙はまるで声無き声の悲痛な叫びのようだった。







「大丈夫だから、絶対お前は助かるから、病院の奴らだってすぐ来る!! だから!!・・・・」












――― お願いです、誰か彼女を助けて下さい。












「・・・・・・・え・・・・・?な・・聞・・・こえ・な・・」




「ヤン・・クミ・・?」









それは突然の変化だった。









「沢・・田・・そこ・・に居・・・・る・のか・・?も・・・見・・えな・・・・・」




「ヤン、クミ?」









青い顔、彼女の目じりには生理的に涙がにじんでいる。

きっとつらい意識を無理に保っているのだろう。




俺の声は少しずつ大きくなっていく・・・・・




「なぁ、ヤンクミ・・・・?嘘だろ・・・・?」









「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」









しかし彼女はその言葉を最後に意識を手放し、目を閉じた。


目を閉じたとき、彼女の頬を目じりから溢れた涙が伝った。














「お願いだ!!早く!!早く来てくれ!!!!!!!!!!!!!!!」














お願いです。

神様、どうか彼女を助けて下さい。







彼女を抱いている腕がまるで鉛のように重く感じた瞬間だった。




そして彼女は目覚めない。




















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++あとがき++
皆さまご機嫌いかがですか?
久しぶりの更新です。

h18.4.12


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