あの時の自分に何が出来ただろう。

ただ泣くことしか知らなかった。




あの時の自分に何が出来ただろう。

失うことの怖さを知った。









ああ、いつも大切なものは失ってからその大きさに気付く。









++++ イバラヒメ 前編 ++++  NO・7









あれはシロが家に来て1年経ったときだった。


そしてシロはたった1年で逝ってしまった。




それは一瞬の出来事、

しかし心に大きな傷を残すには十分すぎた・・・・









沢田シロ――




それは昔、沢田家で飼われていた小さな犬の名前。









これは昔のお話。




沢田家に居た一匹の小さな犬のお話。









その犬はシロという名前の通りで体全体が真っ白な犬だった。




シロはただ愛らしかった。









そしてシロは沢田家に来て、1年という短い生涯を終えた。









シロは雑種で元々捨て犬だった。




それを、慎が拾ってきた。




はじめて拾ってきた捨て犬。

もちろん親父に同じ場所へ捨てて来いと言われたりもした。




それでも慎は初めて我侭を言った。

妹のなつみも慎と一緒にお願いをした。




けれど、親父は許してはくれなかった。

慎は外に出てずっとシロを抱えたまま粘った。






5歳になってまだ間もないのに、慎は親父と同様に頑固だった。











どれくらい経っただろうか、慎の粘り勝ちで親父が折れた。











ただシロを飼う事にあたって約束事がプラスされた。






『面倒は自分で見ること』だそうだ。






慎はシロの面倒を実際によく見ていた。




一緒に遊ぶ、散歩、餌。

全てにおいて一生懸命だった。




ただ、わからないことや出来ないことは母がやってくれていた。




慎はシロを大切に思っていた。

そしてシロも慎を大切に思っているようだった。






だからずっと一緒だと思っていた。












あんなことさえなければ・・・・・・












ただずっと一緒に居ると思っていた。








これからもずっと一緒で、








嬉しいとき、







楽しいとき、







つらい時、







悲しい時、







ただずっと一緒に大きくなるんだと思っていた。




















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++あとがき++
オリキャラも出てきました。
というか、犬ですけど・・・・・・(汗)

さぁ、どうなるんでしょう!!この後の展開!!!

h18.4.14


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