あの時、俺が我侭を言わなければ・・・・

シロは生きていた?


あの時、俺が親父に頼まなければ・・・・

シロは死ななかった?


あの時、俺がシロに出会わなければ・・・・

悲しむことなんてなかった?









いつも後悔ばかりが押し寄せてくる




嘆いたって仕方がないことも知っている




それでも・・・・・・









++++ イバラヒメ 前編 ++++  NO・8









それはシロが沢田家に来て1年が経った日だった。


それは記念すべきシロの誕生日ともいえるだろう。





シロは元々は野良だから慎は本当の誕生日を知らない。


だから家で飼われはじめた日を誕生日にした。





そして今日はシロが家で飼われ始めてちょうど1年目の日になった。





だから俺はその時、母に我侭を言った。




自分も6歳になったし、シロの手綱を持って散歩に行きたいと・・・・




はじめは家政婦がシロの散歩に行ってくれていた。


それから時々、母と俺となつみで家の近所に散歩に行くようになった。






いつも手綱は母が持っていた。






だけど今日は、シロが来て1年目。


自分はこの間、6歳になったばかり。





だから、自分は一つ大きくなったのだから大丈夫。





何を根拠にそんなことを思ったのかはわからない。


多分幼い子供特有の主張だったのだろう。





その時の母は困った顔をしていた。


それでも俺は譲らなかった。








そして事件はオコル・・・・・・








あの時なんで俺はあんな事を言った。


俺は一体何がしたかった。





俺はあまりにも幼すぎた。


自分の軽率な行動で、何かを失うなんてことを知らなかった。





俺は大切なものを失う怖さを知らなかった。





何が大切なものかそうでないか、まだ知らなかった。


そして失ったときに人は後悔をする。





それまでは失ったものの大きさに人は気付かない。





あまりにも幼すぎた自分・・・・・


大切なものはいつも、失ってからその大きさに気付く。




















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++あとがき++
やっと、犬が出てきました。


h18.4.16


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